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「伝統木造軸組構造」「実大水平加力実験」

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3月中旬、知人のYさんと「伝統的木造軸組構法」の「実大水平力の実験」の見学に、筑波学園都市内にある建築研究所迄出掛けていきました。新宿まで車に乗り合わせ、秋葉原から「つくばエクスプレス」経由にて、筑波駅に到着となりました。

「つくばおろし」の吹きつける駅前はまだ大変寒く、十数年前に情報紙がこぞって取り上げたセンタービルを横目で見ながら、バスを待っていました。
当時「ポストモダン」などという言語がマスコミ上で蔓延し、あたかも次世代の建築デザインの指標であるがごとく、様式建築を模倣した建築物をジャーナリズムが取り上げられていたのを思い出します。
 
さて、今回の「実大水平加力実験」の趣旨ですが、伝統的木造軸組構法が、大変形時でも耐力を保って粘り、「地震に対する十分な性能を有する」の実証する事にあります。
骨太な構造材を組合せた伝統的木造軸組構法は、総体的に十分な鋼性・耐力が発揮されますが、学術的に十分に解明されていないところもあります。

金物ばかりで締め付ける「金物木造」は初期鋼性は高いものの、許容度を超えると、金物は吹き飛び一瞬にして崩壊すると思われます。地震国日本の生んだ先人の巧みの技に生きる「伝統木造軸組構造」は、竹のように撓り、自然体で水平力を受け止め、根張り強くなかなか崩壊しないと思われます。

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今回の広大な建築研究所内に建てられた建築物は、大工育成塾の皆さんの卒業制作による下記概要による実物大の「実験棟」でした。
   延べ面積40坪、部分2階建・柱4寸・通し柱5寸
   貫1寸×3.5寸・軸部に金物は使用しない。耐力壁は土塗壁、
   ただし足固めのためのアンカーボルト等により布基礎により締結

いよいよ2階床レベルに水平力が加わり実験開始となりました

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1cm刻みで、加えられる荷重が呼び上げられ、建築物が変形していきます。一旦押したジャッキを引き戻すという作業を繰り返し、木舞下地の土壁等の変形を観察しました。

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変形に対する荷重は、次第に小さくなっていくものの、驚くべき事は、「金物工法」なら筋交いが折れ、プレート金物等が吹っ飛んでしまう様な変形。(1/10ラジアン=25cm)でも、「伝統木造軸組構法」は土壁に割れが入る位で、力を加えれた逆方向にも復旧するという事です。通し貫工法による粘り強さを改めて認識した次第です。

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最後は最大変形(1/5ラジアン=50cm)以上まで、水平力を加えましたが、柱は折れたものの、建物は崩壊しませんでした

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 今回の実験には福岡方面等遠方の方々大勢見えられ、「伝統木造軸組構法」への関心の高さが感じられました。東京からいらした渡辺さんは社務所建築の大御所的な方で、多数の若いスタッフの方々と共に見えられていました。

若い皆さんの現場着姿が大変魅力的で、駅まで送っていただいた車中で若いみなさんから伺った「伝統工法による社務所の耐震補強の手法」等、目からウロコの落ちる思いで聞き入っていました。

私達は、地域文化の豊かな信州に定住し、都会以上に伝統工法、地域素材、本物素材に触れているはずです。都会の建築士が、「伝統木造軸組構法」の伝承に取り組み、地域に生きる私達が、技術の伝承を見過ごしていたら、これは大変な問題です。又、地域素材の豊かな地域に生きる建築士が、石膏ボードの上に2ミリ厚の「インスタント左官材」を塗って、自然素材の家などと言っていたら、これも悲しい話です。

50歳を過ぎ、建築士としての進むべき指針が、次第に見えてきました。実行していく上の問題は多大ですが、私自身のオリジナリティを加えながら、これからも創作していきたいと思っています。